僕は君とビールが飲みたい
君と出会ってもうすぐ4年が経つ。月日が流れるのは本当にあっという間なのに、一緒にいれる時間も少なくて、ごめん。
僕は死ぬまでに君とビールを飲みたい。
あと16年と3ヶ月。果たして、飲めるだろうか。僕は僕の父親と、そう、君のおじいちゃんと、ビールを飲めなかったんだ。だから、僕は、君と一緒にビールを飲みたい。君と一緒に飲み交わすのが夢なんだ。
君のおじいちゃんは、いわゆる下戸だったようで、グラス一杯のビールで顔が真っ赤になっていたのを何となく覚えている。僕の母親、そう君のおばあちゃんの実家に遊びに行ったときに、お付き合いで飲んでた君のおじいちゃん。当時は飲酒運転の規制も緩くて、顔が赤いまま車を運転して、検問で引っ掛かってた記憶までおぼろげにある。
そんなお酒に弱かった君のおじいちゃんは、僕が20歳になる前に死んじゃったから、僕とは飲み交わせなかった。僕と一緒にお酒を飲みたいなんてこれっぽっちも思ってなかったかもしれないけど、どんなに僕が願っても飲むことは叶わなかった。
だから僕は、死ぬまでに君とビールを飲む。そう決めたんだ。僕はお酒が大好きだからその点は安心して欲しい。そして、まだ3歳になる君は、毎日のように僕のグラスにビールを注いでくれている。泡まで意識して注いでくれて、とてもうまいんだ。そんな姿を見ていると、きっと君も飲める口になるかなと思いながら今からその日を楽しみにしているよ。
茅場町の「深川」はどうだろう
16年と3ヶ月後の君とどこで飲もうか。僕がお世話になってる行きつけの焼き鳥屋さんはどうだろう。茅場町にある「深川」というお店だよ。
親子二代で通うなんていいよね。「いいねっ!」が口癖の3歳の君は、きっと16年と3ヶ月後も「いいねっ!」と言ってくれるに違いない。店のオヤジさんにも頑張ってその時まで生きててもらわないといけないね。もちろん、僕がご馳走する。ビールを飲みながらどんな話をしようか。ここにも書いた、君のおじいちゃんの話をしてもいいかもしれない。
なんてことを思っていると、なんとしても死ねないなぁと思う。16年と3ヶ月後。生きていれば僕は54歳になる。僕は何をしていて、君は何をしてるんだろう。とにかく、なんとか、生きていたいな。君も元気に成長して欲しい。
ちなみに、この記事のアイキャッチ画像は、3歳の君がビールを注いでくれている写真なんだ。本当に上手なんだよ。僕は毎日、君の注いだビールを美味しくいただいているよ。幸せをありがとう。
【おわり】