子どものこと、自然のこと、日々のこと、自分のこと。

電車の人身事故について調べてみた。発生件数、致死率、賠償金、運転手のケアなど。

新年早々に起きた電車への飛び込み

2022年1月10日(日)11時38分頃、住んでいる家の目の前の駅で人身事故が起こった。

この日のこの時間、ちょうど洗濯の第2回戦を終え、外に干そうとバルコニーに出たら途端「ブオオオオオオオオオオオオオオオン」という警笛が鳴り響いた。

「なんかあったな」と思ってバルコニーから覗き込むとちょうど電車が急ブレーキをかけて停まろうとしているところだった。

慌ただしく構内放送が聞こえてきて、駅員や運転手さんたちがホームを走ってくる。駅で待っていた多くの人が電車が入線してきたホームの端を見つめているところから想像して「飛び込んだな」と思った。

数分後のTwitterには「〇〇駅で人身事故」の文字が躍っていたのでやはり飛び込みだったようだ。

人生半分近くを生きてきて、何度か電車の人身事故には遭遇したことがある。「何度か」というよりも「何度も」と言ったほうが正解かもしれない。自分の乗っていた電車が人身事故に遭遇した経験は1回か2回かしか記憶がないけど、人身事故の影響を受けたことは数えしれない。それくらい都内に住んでいると電車の人身事故には遭遇する。

まだ僕が実家に住んでいたとき、最寄り駅で人身事故に遭遇した電車のフロントガラスが、蜘蛛の巣のようにヒビがはいって凹んでいて、血液や体液と思われるものが飛び散っていたのを見たことがある。あの光景は今でも現実だったのか夢だったのかはっきりわからないけれど、きっと現実だったんだと思う。子どもながらに衝撃だった。

大人になってからもときどき電車の人身事故に遭遇する中でずっと不思議に思っていたことがあった。

電車に飛び込むという自殺手段の妥当性について
電車との人身事故の発生件数について
電車に飛び込んだことによる賠償金について
人身事故を遭遇した電車の運転手のケアについて

電車に飛び込むという自殺手段の妥当性について

自殺手段の妥当性について書くことそのものがナンセンスだということは承知しているが、「そもそもなんで電車にわざわざ飛び込むんだろうか?!とっても痛そうじゃない??」という疑問がずっとあった。

いやはや我が人生において「自殺」という文字を初めてGoogleで検索してみると、どうやら電車に飛び込む自殺手段は「自殺手段のなかで一番効率的だ」なんていうサイトもあった。

曰く、「服毒だと苦しむ」、「飛び降りだと飛び降りてから地面に着地するまでの恐怖が長い」などの主張が書いてある。それに比べて「電車は飛び込む瞬間の恐怖さえ耐えてしまえばすぐに死ぬことができる」らしい。あえて引用元を記載するのはやめておこう。

さて、ほんとうか?

もしも死ねなかったらときのことを考えると、めっちゃ痛そうだな思うのは僕だけなのか。そもそも、電車の遅延をはじめ、たくさんの人たちに迷惑もかけるし、何より後片付けをする人たちや飛び込まれた電車の運転手は、まったく関係ないのにとっても辛い思いをすることは容易に想像がつく。

それを思うと電車に飛び込む自殺手段はどうしても妥当に思えない僕がいるのである。

最後の最後くらい他の人に迷惑をかけることによって目立ちたいとか、そういうどうしょもない気持ちもあるのだろうか。だとしたらなおさら最低な自殺手段だと言わざるを得ない。

これはまったくの私見だが、自殺手段としては、車なりテントのなかで練炭を焚いて、少し多めの睡眠薬を飲んでぐっすり寝るというのがおそらく一番妥当なんじゃないかという気がする。スヤスヤとぐっすり寝ている間に一酸化炭素中毒で死ねる。どちらにせよその処理では他人に迷惑をかけることになるが、電車よりは辛くイヤな思いをする人は少ない気がする。

それでも電車に飛び込みますか?!僕なら絶対に飛び込まない。

電車との人身事故の発生件数について

電車による人身事故は果たして年間どれくらい発生しているのだろうか。これもまた気になって調べてみると「鉄道人身事故データベース」なるサイトがある。

2010年以降に発生したほぼ全ての鉄道人身事故のデータを用意しています。駅別、路線別、鉄道会社別等、様々な角度から集計したランキングも確認できます。

※引用:「鉄道人身事故データベース」2022.1.11.検索

このサイトによれば、年間の電車による人身事故は年によって違うが約950件から約1,300件起きている。年平均1,126件。日本のどこかで1日約3件の事故が発生していることになる。

2010年から2021年までの11年間での合計は13,522件。そのうち、死亡 (6,633)、重傷 (697)、軽傷 (1,286)、被害不明 (5,441)だそうだ。

もちろん、この件数のすべてが自殺を目的とした末の人身事故とは限らない。鉄道側の過失による事故もあるだろうし、そもそも不運な事故もある。僕も視覚障害者が誤ってホームから転落して亡くなってしまった人身事故に遭遇したことがある。

ともあれ、被害不明 (5,441)を除くと電車による人身事故の致死率は約50%。被害不明のなかにも死亡がそれなりにいることは想像できるので、おそらく致死率はもっと高い。とはいえ、思ったよりも致死率は高くないという印象を受ける。重傷 (697)になる確率は約5%もある。100人に5人は死にきれずにきっととても痛くて苦しい思いをするわけだ。

それでも電車に飛び込みますか?!僕なら絶対に飛び込まない。

電車に飛び込んだことによる賠償金について

電車による人身事故の場合、鉄道会社から遺族に対して多額の損害賠償金を請求されるという話を聞いたことがあった。場合によっては億単位の金額が請求されるとも聞くが真偽はどうなのだろうか。

損害賠償請求は、鉄道会社の立場からしてみれば当然といえば当然だろう。遅延による振替対応、電車の修理、清掃費、そもそもの人件費など、そもそも予定していなかった費用がかかってくるのだ。気持ちはとてもよくわかる。

ただ、調べてみると、どうやら時と場合によって異なるらしく、一概には言えないようだ。

電車の事故が発生したときには、鉄道会社は、民法709条の規定を根拠に加害者に対して賠償請求を求めていくことになります。その際のポイントは、加害者に「故意又は過失」があったかどうかです。<中略>損害額を全額計上すると、数千万円単位になることもありますが、全額請求されるということは少ないようです。加害者や遺族の生活状況や支払い能力を踏まえて、ある程度減額した金額を支払う内容で和解をするというケースがほとんどです。

鉄道会社もバカではない。おそらく人身事故の過去の発生確率などから算出して、一部はきちんと予算にも織り込んでいるはずである。

とはいえ、遺族がいる場合、遺族の負担も計り知れないことは明らかだ。やはり、どう考えても妥当な自殺手段とは思えない。

それでも電車に飛び込みますか?!僕なら絶対に飛び込まない。

人身事故に遭遇した電車の運転手のケアについて

僕がこれまでずっと気になっていた一番のことがここである。人が電車に飛び込んだ場合、不本意にも電車の運転手は人を殺めてしまうことになる可能性が高い。運転手の気持ちを考えればさぞやりきれないだろう。

不本意ながらも人を殺してしまい逮捕されない職業のNO1.は、軍人を除けば電車の運転手なのではなかろうか。

これに関しては調べてみてもなかなか信憑性の高いものが出てこなかった。なかなかナーバスな部分だけに出てこないのかもしれない。

少ない情報をかき集めていると、鉄道会社によって異なるものの、特別休暇を与えたり、カウンセリングなどメンタルケアを行っているとこもあるようだ。運転手によってはそのストレスから鬱になり、異動や辞職に追い込まれてしまう人もいるらしい

そりゃそうだろう。殺めたくなくても人を殺めてしまうのだ。見たくもない死体を見て、悲惨な状態の死体処理の手伝いをすることだってあるだろう。気分が滅入るのも当然だ。

今回、僕が遭遇した人身事故は、新年早々に起きている。1年のはじまり、きっと運転手も気持ちを新たにしていたこともあったろう。そんな矢先の事故だ。もちろん、運転手を目指すにあたってこういう場合の訓練を受けてはいるんだろうが、だとしてもいたたまれない。気の毒で仕方ない。

それでも電車に飛び込みますか?!僕なら絶対に飛び込まない。

自殺について思うこと

さて、2020年、令和2年の自殺者数は21,081人となり、対前年比912人(約4.5%)増だったらしい。男女別にみると、男性は11年連続の減少、女性は2年ぶりの増加となっている。また、男性の自殺者数は、女性の約2.0倍となっているそうだ。

単純平均で毎日55人、2日で110人、1週間で385人もの方が自らの命を自らたっている。

これは僕のnoteにも以前書いたことがあるが、20人でも、200人でも、2000人でもない。世界全体の数字でもない。日本の年間の自殺者数だ。一時は3万人を超えていたのだから、その時に比べれば減った。

他殺で55人も死ぬような事件が起きれば、とんでもないニュースになるのに、同じ55人でも自殺となるとニュースにはなることはほとんどない。ニュースにしない報道機関がいけないと言いたいわけではなく、他殺でも自殺でも人が死んでいるということには変わりないということを伝えたい。

自殺する人は、きっといろいろと思い悩み、生きる希望を失い、どうしようもなくなって自ら命をたつんだと思う。そんな人に「思いとどまれ!」なんて軽々しく言えないし、言うものでもないだろう。彼氏彼女の現実に責任を持てるわけでもない。解決策が「死しかない」という気持ちもわからんでもない

ただ、確かに明らかなことは、死んでしまったらすべてが終わってしまう。この世界にはどんなに戻りたくても戻れない。

この世界に戻れなくても良いと思わせてしまう社会の歪も多分にあるように思えてならない。

さて、2022年1月10日(日)11時38分頃に起きた事故は、消防のレスキュー隊なども駆けつけてやはり現場はとても大変そうだった。被害者が運び出された際、ブルーシートに囲まれていたところをみるとおそらく死亡したのだろう。翌日、ニュースなどにはなっていなかったからそれ以上のことはわからない。

【おわり】

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