100円ショップの粘土
保育園の帰り道に立ち寄った100円ショップで4歳の君が見つけたのは粘土だった。100円ショップに行くと何かしら買ってもらえると思っている君もどうかと思うが、そう思わせてしまう環境をつくったのは親である僕であろうから何も言えない。
この日、ちょうど保育園でも粘土で遊んだらしい。保育園は白色だけだったらしいけど、100円ショップの粘土にはいろんな色が混じっていた。こんな立派な粘土が100円というのもまた恐ろしい。いったいどうこの社会は成り立っているのか。100円ショップは不当労働の温床になっているのではないだろうか。
背景のわからないものはあまり買いたくないのだけれど、そもそも100円ショップに立ち寄ってる時点で自己矛盾に陥っていると言ってよい。
そういえば、粘土の原材料は小麦粉であることをつい数年前に知った。僕が子どものころの粘土も小麦粉が原材料だったのだろうか。あの臭い油粘土も小麦粉からできてたのだろうか。そんなことをふと思いながら、結局、買ってしまった。
粘土の作品
翌日は祝日、朝7時30分の起床とともに前日に買った粘土を手にした君の記憶力というべきか執念というべか、は、すごい。
まだ眠いのに、まだ寝ていたいのに、朝から粘土での作品づくりにお付き合い。君の製作時間はなんと5分。 はやっ。
え、「ちんちん?」と尋ねると、「違うよ!ロケットだよ!」とムキになる。紫芋のタルトの上にちんちんがのってるようにしか思えない僕の発想ときたら末期的なのかもしれない。
アメリカンドッグらしい。ん~、わからない。わからないけれど、アメリカンドッグなのだろう。最近、アメリカンドッグにハマってる君が言うのだから間違いないと思う。
リンゴだと言う。もう僕には理解が追いつかないけれど、リンゴなのだろう。リンゴを食べ過ぎて喉にアレルギー反応が出ちゃうほどの君が言うんだからやはり間違いないんだろう。
なんともだいたんな発想と作品に圧倒される。世に認められている造形の価値もまったくわからない僕である。もしかしたらこの作品たちも価値のあるレベルなのかもと思ってしまうのはあまりにも無知で短絡的なのか。
いや、いや、いいではないか、いいではないか。
そういえば、最初はかき氷のブルーハワイを作ると張り切っていた君は一体どこにいってしまったんだろうか。
【おわり】